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めろは、はように結婚しろ

2016年02月05日

黒板

麹漬けをお昼ご飯で食べた後、多恵は、買い物に行くと言い出した。
「めろ先生、何買うの?」
知恵がふざけて尋ねた。塾の講師をしている多恵は、笑いながら答えた。
「ワンデーアキュビューディファインを買い足しにいくの。で、その、めろは止めた方がいいってば。お母さんが聞いたら怒るから」
めろとは、母親が嫌う、田舎の用語で、おそらく女郎からきてるようだ。女のくせに、という軽蔑の匂いがする、と母はいつも怒ってた。よくおばあちゃんに、
「めろは、はように結婚しろ」とか「めろは大学までいくことはいらん」など言われたらしい。だけどなんか面白くて、姉妹二人のときはふざけて使っていた。

「ターちゃん、カラコンしてたっけ?」
友達と遊びに行く時にしかしていなかったので、知恵は、多恵のカラコンしてる姿をみたことがない。姉のダイナミックな顔立ちで、カラコンは目立つだろうな、と思う。

店頭で、知恵も、試しにカラコンをしてみることにした。
小粒な瞳が、キラキラ大きくなり、ちょっとした違和感に知恵は驚く。
「ターちゃん、私、めんでぇがわらしいことない?」
知恵の言葉に多恵は笑う。
「謙虚に言ってるけど、少なくても可愛いとは思ってる表現だね」
真意を悟られて、知恵はふくれる。
「ほら、チーちゃん、ああいうのを、本当にめんでぃがわいらしって言うんだよ」
多恵は、店の前につながれたブルドックを指さして言う。
「失礼ねー、じゃあ、私はちっともめんでいことない!」
「そうそう、その言葉は自分用ではなくて、こっそり他人用なんだと思うよ。」
姉妹は街にあふれるゆるキャラや、ペット、ときどき他人の子供を見て、その言葉遊びを楽しんだ。


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Posted by 弘せりえ 2015mar at 16:25│Comments(0)短編
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